『Serra's boot camp』
「ワンモアセッ! ワンモアセッ!」
さわやかな掛け声が、澄み切った青空にこだまする。
冒険者の集う宿『False Memories』の裏にある、歩行雑草の集会所の程近く。
朝も早くから数体の歩行雑草と一人の少女が汗を流していた。
事の始まりは前日の夕方にさかのぼる。
世羅の手元にはとある本が届いていた。
『ベリーズ・ブートキャンプ』
『一週間で理想のボディに近づける!』
『ダイエットにも効果抜群!』
『軍隊式トレーニングで冒険者の筋力・体力アップにもオススメ!』
等の売り文句で、最近人気となっている教本だ。
どういう仕掛けか分からないが(恐らく魔力のなせる業であろう)
開くとその場に「ベリー教官」の姿が映し出され、
皆にお手本を示すと共に、叱咤激励までしてくれる素晴らしい本である。
早朝、世羅は一人宿の裏に向かい、本を開く。
「痩せたきゃ俺について来い! You can do it!」
ハイテンションなベリー教官が現れた。
そして軽くストレッチから始まる。
「腕立て伏せは…ストレッチに入らないと思うのですわ…」
開始から5分。早くも世羅の息が上がりはじめた。
ストレッチと言ってもやはり軍隊式であり、一般に行うストレッチとは負荷が違う。
「ワンモアセッ!」
非情にも響く教官の声。そして。
「ワン・ツー・スリー・キック…っ!?」
ワンツーの後、反転してキックを繰り出すエクササイズの途中で世羅の体が浮いた。
転ぶ。だが、その世羅の体を何かが支えた。
「モッサァァァァァァァァ!」
実はその様子を興味津々で覗いていた、肉体派の歩行雑草たちが居た。
一緒に混ざる口実が欲しかったのだろう。
「モサ!モサ!モサ!」
世羅を助け起こしながら、混ぜろ混ぜろといわんばかりのジェスチャーを見せる。
「一緒にやりたいのですか?構いませんわよ。…相当、キツイですが」
「モサァァァァァ!」
望むところだ、と言わんばかり。
こうして、世羅と歩行雑草たちのブートキャンプが始まったのであった。
25分後。
「もう限界ですわっ!」
ぱたんと世羅がその場に倒れ、天を仰いだ。
エクササイズも中盤に入ったころのことであった。
「モサ?」「モサ?」
心配そうに戦友…歩行雑草達が覗き込む。
「少し休みますわ。続きは貴方たちだけで行ってくださいな」
「モサッ!」「モッサァァァァァァァ!」
脱落者が出たことにより、残った歩行雑草達に気合が入る。
さらに25分後。
「ヴィクトリィィィィィィ!」
「モッサァァァァァァァァ!」
ベリー教官と歩行雑草達の叫びが響き渡った。
どうやら完遂したようだ。
結局脱落者は世羅のみ。恐るべし、歩行雑草。
「モサ!モサ!」「モッサァ!」「モサ~!」
歩行雑草達はお互いの健闘を称え合っている。大げさな。
中には世羅に握手を求めてくるものも居る。
「お疲れ様、ですわね」
戦友…歩行雑草達に手を振りつつ、世羅は自室へと戻りシャワーを浴びることにした。
なお。翌日どころか、既に夕方には筋肉痛で動けない世羅の姿があった…。
『False Memories』の裏で「ワンモアモッサ!ワンモアモッサ!」と叫ぶ歩行雑草が居たら、
奴らはブートキャンプ出身者だ。気をつけろ。
## 中の人が頭の一文を思いついたことから始まったネタらしいよ。
## ブートキャンプは実際に体験している/したわけではありません。
## いろいろ出てきた体験記などを元に想像と妄想で書き上げましたとさ。
## 元ネタ:ビリーズ ブートキャンプ
## ロケーション拝借:『False Memories』
## Thanks:歩行雑草
## 以上、仕事中の駄文殴り書きでした ←
## …いやぁ、インストールに何時間も掛かってるんだもの…暇で…。